実はヨーグルト発祥の地はトルコ。
トルコ語でヨーグルトはYoğurt(ヨーウルト)と言い、まさにヨーグルトの名前もトルコ語からきていることが分かります。(余談ですが、ヨーグルト発祥の地と思われているブルガリア語ではヨーグルトはкисело мляко…kiselo mlyakoというそうです。全く違いますよね)
しかし、某商品名の影響でヨーグルトの発祥の地はブルガリアだと思われ、更にはトルコの伝統的で美味しい濃厚ヨーグルト(Süzme Yoğurt) は近年「ギリシャ・ヨーグルト」として日本で人気を博しています。
トルコ料理は赤いか白いか…トマト味かヨーグルト味かと比喩されるくらいトルコの食卓では欠かせないヨーグルト。
知名度では負けてしまいましたが、トルコがいかにヨーグルト大国であるかをご紹介します。
ヨーグルトの種類@トルコ
トルコの乳製品売り場の半分くらいを占めてると言っても過言ではないヨーグルト。
ヨーグルトは小さいサイズから大きいサイズまでさまざまな大きさの様々な商品が販売されています。
ヨーグルトの種類と一口に言っても、脂肪分の量(全脂肪・ライトなど)や、ミルクの種類(牛や水牛、ヤギなど)、容器の種類(ガラス容器入り、箱入りなど)などいろんなカテゴリーで分類して呼ばれていますので、一概にコレはコレ!と分けるのは難しいです。
しかしここでは、ヨーグルトを購入する際にどういう種類のものか分かるように、よく見る種類に分けてご紹介します。
全脂肪ヨーグルト(Tam yağlı yoğurt)
脂肪分そのままのヨーグルト。
高タンパク質。
低脂肪ヨーグルト(Light Yoğurt)
カロリーを抑えた脂肪分がライトなヨーグルト
プロバイオティクスヨーグルト
日本のビフィズス菌ヨーグルトみたいなもの。
生きたまま腸に届き、人の健康に良い働きをしてくれる微生物を含むヨーグルト。
マイルドな風味で、消化器系の調子を整えます。
ドライフルーツやシリアルと食べるのがおススメ。
開封後すぐに食べる必要があるため、小さい容器に入れて販売されていることが多いです。
乳糖フリーヨーグルト
いわゆる、ラクトースフ(乳糖)フリーのヨーグルト。
乳糖アレルギー(乳糖不耐症)の人向け。
乳製品を摂取してお腹がゴロゴロする人はこの無乳糖ヨーグルトがおすすめです。
トルコではヨーグルトだけでなく、牛乳でもラクトースフリー(ラクトズスズ:Laktozsuz)が販売されています。
濃厚(水切り)ヨーグルト
普通のヨーグルトに対して水分含有量が低いヨーグルトです。
濾されて濃厚になっています。
サラダ、フルーツヨーグルト、前菜に利用されることが多いです。
今、日本で「ギリシャヨーグルト」として有名になっていますが、本場はトルコです!
袋(torba)に入れて濾されることが多いため、トルバ・ヨーグルト(Torba yoğurtu)と言われることもあります。
かなり濃厚で、スプーンですくって逆さにしても落ちてきません。
膜ありヨーグルト(と膜なしヨーグルト)
牛乳を温めた時にできる膜(正式にはミルクカゼインというらしいですが、トルコ語ではKaymakでそれ付きなのでKaymaklıです。)のあるヨーグルトです。
膜をガッツリ張れるくらいなので、濃いめのヨーグルトです。脂肪分たっぷりな感じです。
カイマクルヨーグルトと対をなす、カイマクルではないヨーグルト…という意味のヨーグルト。
カイマクルヨーグルトに比べるとさっぱりしていて、表面に膜が貼っていません。
水牛ヨーグルト(とヤギのミルクのヨーグルト)
水牛(バッファロー)のミルクから作られたヨーグルト。
商品によっては牛乳が半分入っていたりと配合はことなります。
水牛のヨーグルトは、牛乳、山羊乳、羊乳から作られたヨーグルトよりも多くのカルシウムとタンパク質が含まれているそうです。
他のヨーグルト製品と比較すると、コレステロール含有率は低く、脂肪含有率は高い。
B12とカルシウムが多く含まれる。
乳糖糖含量が低いので乳糖アレルギーの人におススメです。
その他のヨーグルト
オーガニックヨーグルト(Organik Yoğurt)
有機農業の規制に従って有機飼料を与えられた牛の牛乳で作られたヨーグルト。
容器入りヨーグルト(Tava Yoğurt)
容器に入ったヨーグルト。
タバで作られているのは、カイマクル・ヨーグルトであることが多いです。
ガラス容器入りヨーグルト(Cam Kase Yoğurt)
ガラス容器で作られたヨーグルト。
ちょっと高級感があるイメージで、中身も水牛ヨーグルトとかこだわりヨーグルトであることが多いです。
フルーツヨーグルト(Meyveli Yoğurt)
今でこそ、スーパーでもかなりのスペースを占めているフルーツヨーグルトですが、一昔前は「甘いヨーグルトなんて…」と邪道扱いされていました。
でも、甘くて美味しいフルーツヨーグルトはやはり人気出ます。
トルコのフルーツヨーグルトは日本より甘めで、果肉入りです。
ヨーグルトを使った料理@トルコ
アイラン(ayran)・・・トルコ版飲むヨーグルト
アイランはトルコ版飲むヨーグルトです。
近年は甘い飲むヨーグルトも出てきましたが、トルコで飲むヨーグルトと言えば塩味ヨーグルトドリンクのアイランです。飲みきりのカップサイズやボトルタイプも市販されていますが、家庭でも簡単に作ることができます。
作り方もカンタン!材料は塩とヨーグルトと水のみ。
大体ヨーグルト1に対して水1と好みの量の塩をいれます。例えば、余ったヨーグルトの容器に水と塩をいれ、蓋をしてシャカシャカ攪拌してコップに注ぐだけでOK。市販のアイランの中にはミント入りも。
このミント入りがまたすっきりしていておススメです。
トルコの油っぽい料理や香辛料たっぷりの料理によく合います。
本格的アイランは樽に入れて攪拌して作られます。
ヨーグルトが主役の料理
ジャジュク(野菜のヨーグルト和え)
作り方:きゅうりもしくはその他の野菜を小さな角切りまたはスライサーで細く小さく切ります。ヨーグルトと野菜をかき混ぜて、好みの量の水で薄めます。味付けは塩と好みでニンニク、乾燥ミントやディルの葉を
いれます。深めの皿に一人分ずつ分け入れます。
こちらは暑い夏におススメのメニュー。
夏バテして食欲のない時や食事の最初に食べるとすっきり元気が出ます。
野菜はきゅうりの他に人参でもOKですが、トルコでの定番はSemizötü(セミズオトゥ)です。
ヨーグルトスープ
トルコの定番スープの中の1つ、ヤイラスープ(ヨーグルトスープとの区別は微妙)。
ヨーグルトとお米が入ったスープは日本人的には好みがわかれるところですが、トルコでは冬の定番スープで、冷たいヨーグルトを食べるのを躊躇してしまう冬に大活躍します。
作り方(一例):コップ2杯のヨーグルト、大匙1.5くらいの小麦粉、小さじ2杯くらいの塩、大匙2杯くらいのレモン汁(なくてもOK好みで)、卵黄1個分、中匙1杯くらいの赤唐辛子粉(好みで)、水コップ6杯、100mlくらいの米(好みで)、大匙2杯くらいのオリーブオイル、大匙2杯くらいのバター、大匙1杯くらいの乾燥ミント。
ヨーグルトが料理
イスケンデルケバブ
イスケンデルケバブはブルサ名物のケバブ料理です。
パンの上に、薄く切り落としたドネルケバブの肉を敷き、上から特性ソースとたっぷりのバターをのせたもの。
その横に添えられるプレーンヨーグルトと一緒に食べることで、濃厚ソースとバターのこてこて感が和らぎ、食が進む1品です。
老若男女、トルコ人外国人問わず人気のイスケンデルケバブですが、脇でしっかり支えてくれるヨーグルトなしでは考えられないという、ヨーグルトあってのメニューです。
マントゥ(トルコ風水餃子)
トルコ風水餃子と言われるマンテゥも、トルコの伝統的かつ不動の人気メニューです。
香辛料と肉を混ぜたものを小麦粉の皮で包んで煮てソースをかけて食べるマンテゥ。
ソースよりもニンニク入りヨーグルトが必須です(好みでプレーンヨーグルトに)。
あとはお好みでトマトペーストをバターで溶いて乾燥ミントなどを入れ煮たてたソースや、スマック、ミントや唐辛子といったスパイスをかけて食べます。
ドルマ(サルマ)
ドルマは米とひき肉、香辛料を混ぜたものを野菜などに詰めて煮込んだ料理で、トルコでは前菜として食べられますが、かなりボリュームがあるので、これだけをメインで食べる人も珍しくありません。
ブドウ葉(ヤプラック)で巻いたヤプラク・ドルマス(サルマス)、トマトに詰め込んだドマテス・ドルマス、ナスに詰めたパトゥルジャン・ドルマス、ピーマンに詰めたビベル・ドルマス、ズッキーニに詰めたカバック・ドルマス、ムール貝に詰めたミディエ・ドルマスなど、種類はたくさん。
ムール貝のドルマ以外は、だいたいヨーグルトやヨーグルトソース(ニンニク+塩+ヨーグルトまたは塩+ヨーグルト)をかけて食べるのが定番です。
さっぱり味のドルマと、ヨーグルトソースの濃厚さと塩味がクセになる1品です。
ドルマはヨーグルトなしでも食べられますが、ヨーグルトがあると数倍食が進みます。
米とヨーグルトという、日本人的には不思議な組み合わせですが、トルコ料理では定番の組み合わせで意外と美味しいです。
マンテゥやドルマにかけるヨーグルトは、例えるならオムライスのケチャップでしょうか。
ヨーグルト無しではトルコを代表するトルコ料理の魅力も半減してしまうほど、トルコにはなくてはならないヨーグルト。
是非トルコに来たら本家本元のヨーグルトを食べてみてください。